今回の記事で合同会社の設立手続きは完了です。
具体的な流れは、法務局での登記に必要な書類をすべて揃えて、法務局でその書類を見てもらいます。問題がないようなら、自宅に戻って電子定款は資本の払込などをして、再び法務局へ行き、今度は実際に登記をします。10日ほどすると登記が完了するので、それが終わったら税務署や各役所へ行き必要な手続きを行います。
Step1. 合同会社の設立に必要な書類とお金
法務局:合同会社設立登記申請書(PDF)に申請書類の書き方が載っているので、まず最初にそこを参考にしてみてください。
申請書の中には、代表社員の就任承諾書、職務執行者の選任に関する書面、職務執行者の就任承諾書、委任状などの記載の仕方も載っていますが、一人会社で自分で登記するので必要ありません。資本金は全て現金で払込をするので、資本金の額の計上に関する代表社員の証明書も必要ありません。
登記に必要なお金
法務局で登記する時に収入印紙を買って、申請書に貼り付ける必要があります。電子定款で提出する場合は6万円の収入印紙、紙の定款で提出する場合は10万円の収入印紙を貼り付けます。収入印紙は法務局で売っているので、登記をする時にそこで買います。
代表社員の印鑑証明書
登記には代表社員(自分)の印鑑証明書が必要なので、印鑑登録カードを持って役所(市役所とか区役所)へ行き印鑑証明書をもらってきます。印鑑証明書の発行には300円くらいかかります。
印鑑登録をしていない場合は、身分証明書と自分の印鑑を持って役所へ行き、印鑑登録(300円)をして印鑑証明書(300円)を発行してもらいます。
合同会社設立登記申請書
合同会社設立登記申請書 1.商 号 ○○○○合同会社 1.本 店 東京都○○区○○○○丁目○○番○○号 1.登記の事由 設立の手続終了 1.登記すべき事項 別添CD-Rの通り 1.課税標準金額 金○○○万円 (資本金の額) 1.登録免許税 金6万円 1.添付書類 定 款 1通 本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面 1通 代表社員の印鑑証明書 1通 払込があったことを証する書面 1通 上記の通り登記の申請をします。 平成○○年○○月○日 東京都○○区○○○○丁目○○番○○号 申請人 ○○○○合同会社 東京都○○区○○○○丁目○○番○○号 代表社員 ○○○○ 連絡先の電話番号:○○○−○○○○−○○○○ 東京法務局 御中
日にちは設立日(法務局への登記手続きをした日)
電子定款作成日に、通帳に資本金の額を払い込みます。
通帳の表紙と、通帳を開いた1ページ目、そして資本金の額を入金したことがわかるページを印刷します。(合計3ページ)
定款
定款の書き方は合同会社の設立手続き(3) 定款と電子定款の作成の仕方+資本金の入金の仕方に記載しているので、そこを参考にしてみてください。
登記すべき事項
「商号」○○○○合同会社 「本店」東京都○○区○○○○丁目○○番○○号 「公告をする方法」官報に掲載する方法により行う。 「目的」 1 ○○○○○○○○○○○○ 2 ○○○○○○○○○○○○ 3 ○○○○○○○○○○○○ 4 前各号に附帯または関連する一切の業務 「資本金の額」金○○○万円 「社員に関する事項」 「資格」業務執行社員 「氏名」○○○○ 「社員に関する事項」 「資格」代表社員 「住所」東京都○○区○○○○丁目○○番○○号 「氏名」○○○○ 「登記記録に関する事項」設立
登記すべき事項はシフトJISでテキストファイルで保存してCDRに焼きます。ファイル名はToukisubeki.txtとでもしておけばいいです。
本店所在地及び資本金決定書
本店所在地及び資本金決定書 1.本店の所在地 東京都○○区○○○○丁目○○番○○号 2.資本金 金○○○万円 上記事項を決定する。 平成○○年○○月○○日 ○○○○合同会社 社員 ○○○○
日にちは設立日(法務局への登記手続きをした日)
払込のあったことを証する書面
払込のあったことを証する書面 当会社の資本金については以下のとおり、全額の払込みがあったことを証明します。 払込みを受けた金額 金○○○万円 平成○○年○○月○○日 ○○○○合同会社 代表社員 ○○○○
日にちは設立日(法務局への登記手続きをした日)
Step2. 近くの法務局へ行き書類を見てもらう
一通り書類を書き終えたら、近くの法務局へ行き書類を見てもらいます。ここで注意したいところは、法務局の担当者であっても、奴らの目は節穴である可能性が高いことです。
法務局の担当者がざーと見て、問題ないですよーと言われても信じてはいけません。適当な仕事をするクソのような担当者がいます。少しでも疑問に思うことは、事細かに聞き出す必要があります。
私の場合、そのざーと見た担当者の確認で安心してしまい、家に戻って電子定款にして、再び法務局で別の担当者で登記しようとしたら、問題が発覚。電子定款がパーになって、また家に戻って修正して電子定款を作ってCDRに焼き直して、また法務局へ行くという二度手間になりました。
ちなみに、問題点は、定款の公告の方法の箇所でした。
最初は定款に“電子公告の方法により行う”と記載していて、登記すべき事項にも“電子公告の方法により行う”にしていたのですが、登記すべき事項には電子公告をする際のURLを記載する必要があり、それを記載すると定款にもURLの記載が必要だったのです。
電子公告する際のURLの確保に手間取りそうだったので、結局“官報に掲載する方法により行う”と修正しました。
公告の方法は若干不安な点でしたが、法務局の最初の担当者が特に気にせずざーと見て終わってしまったので、油断してしまいました。
Step3. 自宅に戻って、最終的に必要な書類を完成させる
法務局で念入りに必要な書類を確認した後、自宅に戻って定款を電子定款にします。電子定款にしPDFファイルをCDRに焼きます。CDRにはペンで会社名と電子定款と書き込んでおきます。シールでも直に書き込んでも、どちらでも良いです。
続けて、登記すべき事項もShift JISでテキストファイルに保存してCDRに焼きます。ここで重要なのはShift JISで保存することです。それ以外で保存すると文字化けで、登記後、修正が必要になる可能性があります。CDRに焼いたら、間違わないように会社名と登記すべき事項と記載しておきます。
電子定款を作ったら、資本金の払込をします。資本金の払込は、電子定款を作った後に行わなければなりません(ただし同じ日なら特に問題無し)。資本金の払込を払い込んだら、払い込んだことがわかるように通帳のコピーをして、払込のあったことを証する書面に追加します。
これで準備完了です。法務局へ行き、実際に設立登記を行います。
Step4. 法務局で設立登記する
ここまでくれば、あとは簡単です。
・登記費用 6万円
・電子定款(CDR)
・登記すべき事項(CDR)
・合同会社設立登記申請書(紙)
・本店所在地及び資本金決定書(紙)
・払込のあったことを証する書面(紙)
・払込をした通帳のコピー(紙)
・代表社員の印鑑証明書(紙)
上記を持って法務局へ行き、合同会社の設立登記の申請をします。申請をする時に、念のためCDRの中身が大丈夫か確認してもらいます。電子定款はちゃんと電子定款されているか、登記すべき事項は文字化けしていないかを確認してもらいます。
これで、設立登記の申請は完了です。あとは、10日ほど待てば登記が完了するので、登記完了後に残りの手続きを再開します。
Step5. 10日後、税務署等へ行き必要な手続きをする
法務局で設立登記の申請をしてから10日ほど、法務局から何も連絡がなければ登記は完了です。登記が完了しても、連絡は特に来ません。
10日経って登記が完了したら、法務局へ行き登記事項証明書(履歴事項全部証明書)をもらいます。1通600円で、とりあえず2通は必要になります(東京23区以外だと3通)。ネットでも申し込めますが、今回は手っ取り早く、最寄りの法務局でもらってきました。
履歴事項全部証明書を手に入れたら、何はともあれ税務署へ行って必要な設立手続きを行います。税務署での手続きが最も重要です。設立から2ヶ月以内に税務署で手続きをすれば良いのですが、登記が完了したらさっさと手続きをしに行きましょう。
税務署での手続きが終わったら、都道府県税事務所(今回は都税事務所)へ行き届け出を出して、最後に年金事務所で社会保険の手続きをします。
税務署で必要な書類を提出する
他の何の手続きが遅れても、それほど問題にはなりませんが、設立登記が完了したら、税務署への届出だけは迅速に行うことをおすすめします。遅れると税制上不利になります。
必要な書類は下記の4つです。これらは事前に用意する必要はありません。担当税務署へ行き法人の届出を出したい旨を伝えると、必要な書類を出してくれます。ただし、気が利かない担当者の場合、法人設立届しか出してこない場合もあるので、4つの書類の名前だけは覚えておきましょう。
・法人設立届 (これは税務署でもらう必要あり!)
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
これらの書類は全て控えをもらう必要があります。特に、法人設立届や青色申告の承認申請書の控えは後々必要になる場合があるので、控えをもらうのを絶対忘れないようにしましょう。
このうち青色申告の承認申請書を忘れると痛い目にあいます。設立登記後、青色申告の承認申請書を2ヶ月以内に提出しないと、青色申告の特別控除(65万円)を受けられなくなります。
源泉徴収の特例の申請書も手間を省くために必要な書類です。
持って行く必要のあるのは定款のコピー、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)、それと個人の印鑑です。実印である必要はありません。電子定款の場合は、プリンターでプリントアウトしたものを持っていきます。紙の定款の場合は、その定款をコピーしたものを持っていきます。
書類の書き方が分からなければ(普通の人ではわからない箇所が何箇所かあります)、税務署の人に聞けば教えてくれるので、気構えて行く必要はありません。
法務局での登記手続きと比べると、あっさり手続きが完了します。税務署の手続きにはお金は必要ありません。
都道府県税事務所で必要な書類を提出する
税務署での手続きが終わったら、続けて都道府県税事務所へ行き必要な書類を提出します。設立から1ヶ月以内に提出する必要がありますが、遅れても文句は言われませんでした。とりあえず、出してくれれば良い感じでした。
・法人設立届(税務署で提出したやつの残り)
・法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
・定款のコピー
・一応、個人の印鑑
法人設立届は、税務署で提出したやつの残りです。複写式になっていて、税務署で用意されている法人設立届を書くと、複写式になっているので、都道府県税事務所に出す法人設立届も同時に用意できます。
市町村役場へ法人設立届の提出
東京23区の場合は区役所に法人設立届を提出する必要はないのですが、それ以外の場合は、設立から2ケ月以内に市町村役場へ法人設立届を提出する必要があります。
用意するのは都道府県税事務所へ提出した書類と同じです。
・法人設立届(税務署で提出したやつの残り)
・法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
・定款のコピー
・一応、個人の印鑑
その他の役所で必要な書類を提出する
最後に年金事務所で社会保険の手続きをして、従業員がいる場合は労災保険や雇用保険に加入します。
これで合同会社の設立手続きは完了です。お疲れさまでした!
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