本当に安全なレバレッジと買い方、前例のないスイスフランの暴騰の教訓

最終更新日 / 作成日 2015/01/21 / 作成者 資産運用の管理人

FXのレバレッジは3倍くらいなら安全だと思っていました。

ところが先日、歴史的に類をみないスイスフランの暴騰が発生しました。1スイスフラン115円だったのが、たった20分で166円まで暴騰しました。

レバレッジ2.2倍以上でスイスフランを売っていた人は、一夜にして強制ロスカットになってFX資産が吹っ飛びました。低リスクで取引をして朝起きたらお金が全部なくなった。それがFX。

日本人の8割は損をした

外為どっと:各通貨ポジション状況

スイスフラン/円を85%の日本人が売っていました。米ドル/スイスフランは78%の日本人が買っていました。

つまりFXでスイスフランの取引をしている日本人の8割はスイスフランを売っていました。そしてスイスフランが暴騰しました。売ったものは買い戻さなければならないので、急騰してしまったスイスフランを買うのにより多くのお金が必要になります。そのため損失をこうむることになしました。

そもそも何で日本人はスイスフランを売りまくっていたのかと言うと、スイスフランを買うとスワップ金利がマイナスになるからです。そのため、スイスフランを買うよりも売る人のほうが多くなってしまいました。目先のスワップ利益につられて、大損しました。

スイスの中央銀行がスイスフランを売りまくって、スイスフランの上昇を抑えていたのが、急にその役目を放棄してしまいました。その結果、スイスフランを売る人間がいきなり少なくなりスイスフランが急上昇してしまいました。おそらく予想できた人間はほとんどいません。儲かった人も損した人も勝因・敗因は運だけです。

実際に大損した人、大もうけした人の割合とその傾向

2chやまとめサイトでは面白おかしく阿鼻叫喚をあおっていますが、本当のところどうなっているのか調べてみました。

ファイナンススタジアムというサイトで実際にFXをトレードしている人の状況やランキングを見ることができます。

実際の収益率の状況

1週間の収益率ランキングによると現時点で2985人が登録しています。

スイスショックが発生した1週間のランキングによると、その1週間で総資産の70%以上の利益を出した人は25人、総資産の70%以上の損失を出した人は43人になります。このうち総資産が100万円未満の人は切り捨てたとすると、70%以上の利益を出したのは12人、70%以上の損失を出したのは20人になります。

実際の収益額の状況

1週間の収益額ランキングによると現時点で3142人が登録しています。

100万円以上の利益を出した人は47人、100万円以上の損失を出した人は83人。100万円以上の利益を出した47人の利益額を概算で合計したところ合計利益は2億1千万円くらいになりました。100万円以上の損失を出した83人の損失額を概算で合計したところ合計損失は2億4千万円くらいになりました。

状況の結論:超少数の超大儲けと多数の大損

今回のFXでは利益を出した人の2倍、損をした人がいました。ただし、合計利益と合計損失の差は少しでした。つまり、超少数の超大儲けと多数の大損の人たちででFXは成り立っていることになります。

多数の大損の人たちが発生する理由は、ロスカットの存在です。

1スイスフラン115円だったのが、たった20分で166円まで暴騰しました。この悪夢の20分で一気に資金が底をつき強制ロスカットで損失が確定してしまいました。166円まで暴騰してすぐに133円くらいまで急落して落ち着きましたが、強制ロスカットになると損失を取り戻せません。そのため大損をする人たちが多数発生してしまうことになります。ただし、強制ロスカットになるため、自己破産級の借金になるような超大損になることはほとんどありません。

超大儲けが少数になる理由は、115円から166円まで一気に急騰しましたが、最終的には133円ぐらいで落ち着いてしまいました。つまり寝て起きたら、115円が133円になっていたと。この場合、そこそこ儲かるけど超大儲けというほどのレベルにはなりません。超大儲けになった人は、リアルタイムで急騰した時に売り切った人たちだけになります。もしくは10倍以上のレバレッジでスイスフランを買っていた超レアな人たちくらいです。

結果論:マイナーな通貨の安全なレバレッジは2倍

外国為替市場

アメリカドルが87.0%、ユーロが33.4%、日本円が23%の世界シェアになっています。
おそらくこの3つの通貨は量も多いので比較的変動が小さい通貨なので、長期的に見てもレバレッジも3倍くらいとっても大丈夫だと思います。短期的ならレバレッジ10倍くらいでも一夜にして強制ロスカットとかはないと思います。

少し怪しいのが11.8%のイギリスポンドと8.6%のオーストラリアドルです。通貨の流通量も中程度なので何かあった場合の変動幅も大きくなります。長期的に見てレバレッジも2.5倍、短期的なら5倍くらいが妥当なレバレッジだと思います。

かなり怪しいのが5.2%のスイスフラン、2.0%のニュージーランドドルです。中央銀行の気分次第で、通貨が吹っ飛びます。長期的に見てレバレッジ1.5倍、短期的でも2倍くらいがせいぜいだと思われます。ニュージーランドドルなんかは1年くらいで90円だったのが45円くらいになってたりします。

FXは分が悪い

超少数の超大儲けする人たちと多数の大損する人たち、これがFXの現状です。

通貨は各国の中央銀行のさじ加減でひっくり返ります。度胸があって運がある人は大儲けできます。さらに才能がある人の場合は超大儲けできます。度胸があって運がない人は大損します。この場合、才能があっても大損します。

株式市場の場合、基本的に世界経済は右肩上がりなので株式市場も右肩上がりで上昇していきます。たとえ低成長であっても少しずつ上昇するのが株式市場です。(日本のようにデフレの場合は例外です、海外市場全体は基本的に右肩上がりです)

為替相場にはその右肩上がりの成長がないんです。

株式市場の場合は世界経済の成長率により損よりも利益のほうが大きくなります。
合計利益 > 合計損失

為替市場の場合、世界経済の成長なんて関係ないので利益と損失が同じになります。
合計利益 = 合計損失

低レバレッジでFXを運用するのは安全なのですが、そのぶん多くの資金をFXの口座に入れておく必要があります。無駄にFX口座に多くのお金を入れて安全に運用するなら、株式市場で資金を運用したほうが配当利回りがあるぶん有利になります。

FXやるくらいなら、株を買ったほうが良いと思います。さらにいうと、うさんくさい日本株を買うくらいなら、外国株や先進国や新興国のインデックスを買っておくのが無難な選択だと思います。大儲けはできないと思いますが、比較的安全に年3%の利益(配当や分配金)ぐらいでそうな気がします。

FXの本当に安全なレバレッジはゼロ倍、つまり買わない&やらないことです。(例外的にヘッジ目的ならFXもありです)

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