相続税対策、同居と一時払い終身死亡保険と110万円贈与+α

最終更新日 / 作成日 2014/11/06 / 作成者 資産運用の管理人

コツコツ貯蓄して、0.1%でも高い金利の銀行に預けて、最後に相続税で国にぶんどられる・・・。

貯蓄もいいですが相続税について対策する必要があります。さもなければ、親や自分が死んだ場合、せっかく貯めたお金に多額な税金がかかってしまう場合があります。

相続税を支払う対象になるかどうか

2015年から相続税の基礎控除は3000万円+600万円×法定相続人の数になりました。例えば父親が死んで、母親と子供二人がいる場合、3000万円+600万円×3人で4800万円まで相続税がかかりません。

父親の財産(土地やお金や株式等)が4800万円以下なら相続税の対象にはならないので、ここから読む必要はありません。4800万円を超えていそうな場合、もしくは父親と母親の財産の合計が4800万円を超えている場合は、相続税の対策は事前準備が必要なので、今から対策を取ったほうが無難です。

同居は相続税の一番効果的な対策になる

財産のうち一番問題になってくるのが実家の土地です。

例えば東京に実家がある場合、土地だけで5000万円の価値があっても不思議ではありません。これだけで相続税に引っかかる場合があります。

ところが実家に母親や子供が同居している場合、小規模宅地等の特例により相続税上の評価を8割減にすることができます。つまり5000万円の土地が1000万円の評価になります。

家(建物)は8割の評価減には入らないのですが、経年劣化でたいした評価額にはなりません。昔建てた家なら建築価格の1割くらいです。最近父親名義で新築して父親が死んでしまった場合、相当額が相続税の評価額に反映されてしまいます。ということで、家を建て替えるとき父親の年齢が60歳を超えるようなら、子供のお金と名義を使って建てるべきです。親がお金を出して子供の名義にすると、たぶん贈与税関連が発生するので、あくまで子供が持っているお金で出す必要があります。

何はともあれ、実家の土地の価値が高く、相続税に引っかかりそうな場合、法定相続人(母親や子供)が1人は一緒に住む必要があります。

両親が実家に住んでいてどちらかが亡くなった場合は、子供が1人同居するのが相続税上とても大きな節税になります。

同居しなくても子供が貸家やアパートに住んでいて、相続前3年以内に自分の持ち家に住んでいなければ、家なき子という特例で、同じく8割の評価減を受けることができます。

小規模宅地等の特例と共同名義の罠

8割減になる小規模宅地等の特例を受けられるのは該当する相続人が相続する場合に限ります。

例えば、子供が2人いて、1人は親と同居してもう1人はマイホームに住んでいたとします。親が両方亡くなって、実家を子供2人の共同名義にしてしまった場合、土地の半分は8割減を適用できますが、残りの半分は8割減の適用を受けることができません。5000万円の土地なら、2500万円×0.2 + 2500万円 = 3000万円の評価になります。親と同居していた子供だけが土地を相続する場合、土地の評価は1000万円になりますが、同居していないマイホーム持ちの子供と共同名義にした場合、土地の評価は3000万円になってしまいます。相続税的にも分が悪く、そして土地の共同名義はあとで争いのもとになります。

こういった場合、同居していた子供が土地をすべて相続して、代償分割という制度を使って同居していた子供が自分のお金をマイホーム持ちの子供へ渡すのが一般的になります。そうすることで、相続税も抑えられ、土地の評価額以上のお金を渡さなければ贈与税もかかりません。

代償分割をするには同居していた子供がお金を持っている必要があります。お金がない場合は、あきらめて土地を売るしかなくなります。

他にも細かい規定なんかがあるので、詳しくは国税庁のページを読みましょう。→ 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

一時払い終身死亡保険で相続税に引っかかる現金を減らす

小規模宅地等の特例が適用しても現金がたくさんある場合、一時払い終身死亡保険を使うことで相続税に引っかかる現金を減らすことができます。

生命保険金の非課税金額というのがあって、500万円×法定相続人の数を非課税にすることができます。

父親が死んで、母親と子供2人が相続人の場合
500万円×3人で1500万円分の生命保険が非課税になります。

この場合の一時払い終身死亡保険は、父親が契約者になり1500万円弱を払い父親が死んだ時に、子供が保険(1500万円)を受け取るようにします。このとき1500万円には税金がかかりません。ちなみに母親を受取人にしてももともと配偶者の税額軽減があるので意味がありません。

一時払い終身死亡保険は基本的に子供が相続するときにかかる相続税を減らす役割と、実家に住んでいる子供(長男等)が代償分割をしようにもお金がない場合に、この死亡保険を受け取り代償分割として死亡保険のお金を残りの兄弟に分ける場合などに使われます。

詳しくは国税庁のホームページを確認しましょう。→ 相続税の課税対象になる死亡保険金

毎年110万円を子供に贈与する

上記のことをやっても、まだ相続税に引っかかる場合、次にやることは110万円贈与です。毎年110万円を子供にあげても非課税だからです。

なお父親が子供に110万円あげて、母親も子供に110万円上げた場合、子供は220万円受け取ったことになるので、贈与税の課税対象になります。(220万円-110万円)×10%、11万円を贈与税として払わなけれならなくなります。

連年贈与というのがあり、毎年同じ金額を同じ日に同じ人間に贈与した場合、それを契約とみなして最初の年に一括して贈与したというふうに国税庁が判断する場合があります。

例えば毎年100万円を10年間子供にあげ続けた場合、年間110万円以下なので贈与税はかからないはずなのに、連年贈与だと国税庁が判断すると、最初の年に1000万円の贈与があったとみなされて((1000万円-110万円)-125万円)?40%、306万円の贈与税を払う必要が出てくる可能性があります。更に悪いと、延滞税やら追徴課税やら・・。

連年贈与を避ける一番確実な方法は、毎年贈与契約書を作っておくことです。贈与する日付を変えたり、金額を少し変えたりもある程度有効かもしれませんが、もっとも確実なのが贈与契約書です。現金がかなりあり、5年以上毎年110万円を贈与するような場合、念のため毎年贈与契約書を作って保管しておくのがいいと思います。ネットで贈与契約書で検索すればひな形が出てくるのでそれを使えばいいと思います。

まだ相続税に引っかかる場合→アパートや駐車場用の土地を買う

上記の全てをやっても相続税に引っかかる場合、最後の手段でアパートを買ったり駐車場用の土地を買って相続税を低くします。ただし、この方法はリスクを伴うので相続税が数十万円くらいになる場合は、おとなしく相続税を払ったほうが無難です。これは相続税が数百万円を超える場合に使う方法です。

ここで使うのも小規模宅地等の特例です。前は自宅の土地に小規模宅地等の特例を適用して土地の評価額を8割減にしました。

土地が貸し駐車場として使われていたりアパートが建っていると土地の評価額は200平方メートルまで5割減にすることができます。

相続税が数百万円(200万円?300万円)になる場合
土地を買いアスファルトを敷いて貸し駐車場にする。3000万円の土地を現金で買った場合、路線価は2割減くらいになるので2400万円。それを駐車場にして小規模宅地等の特例を適用して1200万円になります。3000万円だったのが1200万円になります。これで相続税を200万円くらい削減することができます。ここで重要なのは売れない土地は買わないことです。あと駐車場は固定資産税が高いので、せめて固定資産税<土地の価格×年利2%くらいの駐車代金が取れる場所を探すことです。いくら相続税を安くしても赤字を出すような駐車場を作っては意味がありません。 相続税が1000万円超えになる場合 土地を買い駐車場ではなくアパートを建てて部屋を貸す。5000万円の土地を買い、その上に5000万円でアパートを建てる。土地は小規模宅地等の特例を適用して2000万円、アパートは2500万円くらいの評価になります。相続税上の評価額は4500万円になります。相続税上の評価額は5500万円下がるので、相続税を700万円(かなり適当)くらい下げることができると思います。アパートを建てればそれで終わりというわけではなく、毎年、建物価格×10%くらいの家賃収入が上がるようなアパートを建てる必要があります。これが5%くらいになってしまうと、たぶん赤字です。相続税を減らす代わりに、赤字アパートが誕生しては目が当てられません。特に人口減少、東京一極集中が続く中、アパート経営はかなりリスクを伴うものと認識しておく必要があります。 相続税がとてつもなく取られる場合 相続税が数億になるような場合、おそらく会社を作るのが正解だと思います。複数の専門家に相談してお金を払って最適なプランを考えましょう。

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