一般口座と特定口座の源泉徴収ありと源泉徴収なしの詳細

最終更新日 / 作成日 2013/11/29 / 作成者 資産運用の管理人

証券会社の口座を開設するとき、誰もが引っかかるところがあります。それは、特定口座を開設するかどうか、源泉徴収ありにするか源泉徴収なしにするかどうかです。

結論から先に書くと、特定口座を開設して源泉徴収ありを選ぶのが得策です。証券会社の口座を開設する人のほとんどが、この特定口座あり源泉徴収ありを選んでいます。

ここで詳しく一般口座と特定口座の源泉徴収ありと源泉徴収なしの違いとそれぞれのメリットでメリットを解説します。時間を節約したい場合は読まずに、特定口座あり源泉徴収ありを選んでおけば問題ないです。

一般口座と特定口座の違い

証券会社の口座には税金の計算の仕方と税金の払い方の違いで3つの異なる口座があります。口座開設時に3つのうちどれかを選ぶことができます。

3つの口座: 一般口座、特定口座の源泉徴収あり、特定口座の源泉徴収なし

一般口座と特定口座の違いは、特定口座は証券会社が税金の計算をしてくれて結果を知らせてくれるのに対して、一般口座は自分で計算する必要があります。わざわざ自分で計算する意味はないので、ほとんどの人が特定口座を選びます。

特定口座の源泉徴収ありと源泉徴収なしの違い

特定口座にも選択肢があり、源泉徴収ありと源泉徴収なしの特定口座を選ぶことができます。

源泉徴収なしにすると、税金を少しだけ安くできる可能性がありますが、逆に税金がかなり高くなることもあります。さらに手間も増えます。そのため、多くの人は源泉徴収ありの特定口座を開設しています。

特定口座の源泉徴収ありのメリット

源泉徴収は、言うなれば税金自動払い機能です。

株の売買で利益が出た場合は、毎年税務署に行って確定申告をしなければなりません。それが源泉徴収ありを選ぶと、証券会社が自分に変わって税金を計算して払ってくれます。損失もちゃんと考慮して計算してくれます。税務署に行って確定申告の必要はありません。とても楽です。

これに加えて株の配当を受け取る時に、株式数比例配分方式にすることができます。株の配当には20%の税金がかかるのですが、株式数比例配分方式にすると20%の税金は取られません。株の売却損益と配当利益(税引き前)を全部足して、年間で利益が出ていたらそこから20%の税金が取られます。

通常なら株の配当は全て20%の税金が取られてしまいますが、株式数比例配分方式にすることで、株の売却損益と配当利益の合計がマイナスになった時、配当にかかる税金を払わずに済むのでお得です。

配当をお得に受け取るという面でも、特定口座の源泉徴収ありにして株式数比例配分方式が一番です。

損失が出た場合は確定申告!

株式投資で年間で売却損になった場合、損失を繰り越すためにも税務署に行って確定申告をする必要があります。

損失を繰り越すことで、翌年の売却益が出た時に損失と相殺することができます。源泉徴収ありでも、年間で売却損が出る場合は、確定申告をして損失を繰り越す必要があるので、注意してください。毎年確定申告すれば、損失は3年間繰り越すことができます。

ただし、損失繰越分があっても、大幅に年間利益が出た場合は、確定申告しないほうが翌年の住民税や健康保険料が安くなる場合もあります。前年までの損失繰越を大幅に上回る年間利益が出るような場合は、確定申告をするかしないかは慎重に検討したほうがいいです。(源泉徴収なしの場合は、確定申告が必要です!)

複数の証券会社を使っている場合

複数の証券会社で株を取引している場合、片方の証券会社で年間で売却損を出して、もう片方の証券会社で年間で売却益を出した場合、確定申告して損益通算しないと税金が戻ってきません。ただ、確定申告すると、下記にある国民健康保険の上昇を招く恐れがあるので、気をつける必要があります。(詳しくは下の方に書いてあります)

特定口座の源泉徴収なしの存在意味

証券会社の口座は特定口座の源泉徴収なしを選ぶのが一番いいのですが、特定口座の源泉徴収なしにもメリットがあります。そのメリットが年間の株の売却益が20万円以内なら確定申告をする必要がないので、最大年間4万円の税金を支払わずに済むことです。

源泉徴収ありの場合は年20万円の利益が出た場合、4万円の税金が自動的に差っ引かれます。源泉徴収なしなら、この4万円の税金は差っ引かれません。税務署で確定申告をすると4万円の税金を支払う必要があるのですが、給与や退職金以外の収入が年20万円以内なら確定申告しなくていいルールがあります。

そのため、株の売却益(+その他の副収入)が年20万円以内に抑えることができるなら、税金を払わなくていいので、お得な口座と言えます。

ただし、ここにはデカい穴や小さい穴があります。

結論は、面倒なことになるので“源泉徴収あり”を選んだほうが絶対良いです。

国民健康保険料の大幅上昇の可能性

特定口座の源泉徴収なしの口座で年間で20万円以上の売却益を出すと国民健康保険料が上昇します。

株の売買で利益が出て確定申告すると、その利益が国民健康保険料に反映されます。ざっくりいって、利益の10%が国民健康保険料で持っていかれます。株の収入以外他に無い人は、33万円までの利益はセーフです。それを超えると、越えた利益の10%くらいが税金で取られます。

社会保険に入っていて国民健康保険に入っていない人は、関係ありません。

自営業や定年を迎えた人、専業主婦等、国民健康保険に入っている人が、自分で株の利益の確定申告をするとひどい目に遭います。

もし500万円の株の売却益を上げようものなら、翌年の健康保険が50万円くらい上がります。さらに、年間の売却益(雑所得込み)が38万円を超えると、扶養控除からも外れてしまいます。

これらは確定申告をしない源泉徴収ありにしておけば、全て避けることが出来ます。源泉徴収なしで年間の利益を20万円以内に抑えている場合は年間最大4万円の税金の支払いを免れますが、20万円超になると手痛いしっぺ返しを食らうことになるので、割に合いません。

その年にまだ株式売却等をしていなければ、源泉徴収なしから源泉徴収ありへ変更することが出来ます。逆も出来ます。(ただし12月後半になると手遅れです)

扶養控除から外れたり、社会保険の扶養からも外れる可能性がある

源泉徴収なしの証券口座で株を売却して、株の売却益が年38万円以上になると、扶養控除から外れます。扶養控除から外れると税金が上がります。すでに扶養控除の対象者(年間所得38万未満)ではなければ、関係ありません。

社会保険の扶養に入っている場合、株の売却益が年130万円以上になると社会保険の扶養から外れて、新たに国民健康保険に入らなければならなくなります。

これらは、基本的に専業主婦/主夫の場合に、引っかかるデメリットです。専業主婦/主夫の場合は、特定口座の源泉徴収なしにして税金の支払いをケチると、後で恐ろしい目にあうので、マジで特定口座の源泉徴収ありにしておいた方が絶対良いです。

損失を出しても配当に20%の税金がかかる

普通に配当を受け取ると20%の税金が差っ引かれた金額を受け取ることになります。

特定口座の源泉徴収ありにして、配当の受取方法を株式数比例配分方式にすると、年間で株の売却損が出た場合、配当にかかる税金を払わなくて良くなります。

例えば、2016年の株の売却損益で20万円の損失を出したとします。2016年中に受け取った配当は8万円です。配当は8万円ですが、2万円は税金で支払っています。売却損失が20万円なので、この配当にかかった2万円が戻ってきます。

特定口座の源泉徴収ありなら株式数比例配分方式に設定しておけば自動的にこれをしてくれます。確定申告する必要もありません。

特定口座の源泉徴収なしの場合、株式数比例配分方式にすることができないので、配当がある状態で年間で株の売却損がある場合は、確定申告をしなければできません。

そのままにしておくと、株で損を出しても株の配当は常に20%の税金がかかってしまいます。年間で売却損を出している場合は確定申告をすることでも配当で支払った税金分の大半を取り戻すこともできます。ただし、確定申告自体が面倒くさいのに加えて、配当の計算したり書類を用意したりと非常に面倒なことになります。

年間の売却益が20万円を超えたら面倒くさい確定申告

年間の売却益が20万円を超えたら面倒くさい確定申告をしなければならないのですが、この確定申告は面倒くさいです。書類を用意して税務署に行って、確定申告すると少なくとも半日はつぶれます。

源泉徴収なしにすることで年間最大4万円の税金を節税できますが、面倒くさい確定申告に行かなければならなかったり、国民健康保険料が増えたり、配当収入を売却損で相殺できなかったり等、正直分が悪いです。小銭を節約していたら、いつか大金を失うパターンです。絶対、源泉徴収ありを選んだほうが良いです。

ちなみに年間の株の売却益にかかる税率は20%です。確定申告時も株の売却益の税率は20%が適用されます。税率自体は同じですが、

年間20万円以内の利益で住民税の支払いは必要?

特定口座の源泉徴収なしの口座で、年間20万円の利益が出た場合、確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要になります。

株の売却益にかかる税率は20%ですが、15%が所得税、5%が住民税になります。年間20万円以下の利益の場合、所得税の支払いはする必要がありませんが、5%の住民税の支払いはする必要があります。20万円の利益だと、5000円を役所(市区町村役場、役所)に行って払ってくる必要があります。

ただ、本気でこれを追いかけている役人はいない気がします。実際に催促が来たとか言うのは聞いたことがありません。役所に行って住民税の申告をする必要はあるけど、たぶん、ほとんどの人がしていないと思います。

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