貸株と預株は自分の持っている株を貸すことで、貸した株の金額の金利(年利0.1%~0.5%、ごく一部の銘柄で1%以上)をもらうことができる制度です。
貸株または預株ができるのはSBI証券、カブドットコム証券、マネックス証券、楽天証券、松井証券の5社のみになります。貸株と預株はほとんど同じ制度ですが、証券会社によって呼び方が違います。松井証券が預株(よかぶ)と呼んでいて、残りの4社は貸株(かしかぶ)と呼んでいます。
結論から先に言うと、貸株や預株は基本的にデメリットの方が大きいので利用しない方がいいです。それでも利用したい場合は、松井証券が一番無難な選択肢になります。(2番手にマネックス証券)
貸株と預株のデメリット
貸株の最大のデメリットは配当金が雑所得になることです。その他に、預株の場合は大丈夫ですが、貸株の場合、利用している証券会社や証券会社の貸出先が潰れたときに貸した株が返ってこない可能性があります。
長期保有優遇がある優待銘柄でも長期優遇分の優待をもらうことができないデメリットもあります。デメリットというわけではなりませんが、信用取引の口座を持っていると貸株や預株ができない場合があります。
1. 最大のデメリット、配当金が雑所得になる
貸株の最大のデメリットは配当金が雑所得になることです。
これはSBI証券、楽天証券、カブドットコム証券で貸株をした場合のデメリットです。
配当は20%程度の源泉徴収(税の前払い)された後の金額を受け取ることができます。通常はこれで税金の支払いは終わりです。特に手続きは必要ありません。
さらに、特定口座の源泉徴収ありにして、配当の受取方法を株式数比例配分方式にすると、年間で株で売却損があった場合、配当金で支払った税金分が自動的に戻ってきます。
ところが、株を貸株や預株にしてしまうと、これができません。配当は受け取れますが、配当金相当額等という名前になり、この収入は配当所得ではなく雑所得になります。
雑所得に分類されると、株で売却損があっても支払った配当金の税金は戻ってきません。年間の雑所得が20万円を超えると、すでに配当の税金分を収めているはずなのに、確定申告をしてさらに税金を納める必要が出てきます。
貸株や預株は税制で非常に不利な制度になっています。たとえ年利0.1%~0.5%の金利がもらえても、税金の二重取りで金利が吹っ飛んで、実質マイナス金利になります。
マネックス証券と松井証券は問題無し
マネックス証券の場合、配当金自動取得サービスいうのがあって、これを設定すると、配当相当額ではなく、通常の配当として受け取ることができます。ただし、0.05%の手数料がかかります。金利が0.1%の場合は0.05%になり、金利が0.5%の場合は0.45%になります。
松井証券の預株の場合、最初から配当相当額ではなく配当として受け取ることができます。
マネックス証券と松井証券の場合は、貸株や預株を利用しても、通常の配当と同じメリットを享受することができます
2. 倒産リスク、貸した株が返ってこない可能性
このデメリットはそこまで気にする必要はないのですが、貸株の場合、貸した株が返ってこない可能性があります。
貸株(預株)サービスは、まず最初に自分が証券会社(SBI証券、マネックス証券、楽天証券、カブドットコム証券、松井証券)に株を貸した状態になります。そして証券会社が機関投資家などに貸します。(松井証券だけ少し違います)
問題は、株を貸した状態で証券会社や機関投資家が潰れた場合です。
松井証券の場合、特別な補償があるので、何かあった場合でも貸した株相当の金額が戻ってきます。
その他の証券会社は、証券会社が潰れたときは貸した株が返ってきません。何割かは返ってくると思いますが、全部は返ってきません。証券会社が株を貸した機関投資家が潰れた場合も、SBI証券、マネックス証券、楽天証券、カブドットコム証券の場合は簡単には返ってきます。機関投資家に貸し出す時に担保を取っているので、大部分は返ってくると思いますが、何割かは失う可能性があります。
貸株を行っている証券会社がつぶれたことや、機関投資家などがつぶれて貸株が戻ってこなかった例は現在のところありませんが、これからも絶対無いとは言い切れません。
潰れて貸株が返ってこない可能性はかなり少ないと思いますが、毎年1%くらいあるんじゃないかと思います。年利0.5%程度では割にあわない気がします。
その点、松井証券の場合は、松井証券がつぶれた場合でも、貸した先の機関投資家がつぶれた場合でも、貸した株に相当するお金が戻ってくるので安心です。(その分、もらえる金利は低めです)
3. 長期保有株主向け優待制度を受けられない
株主優待自動取得サービスがあるので、貸株や預株をしていても株主優待自動取得サービスで株主優待をもらうことができます。ただし、長期保有株主向け優待はもらうことができません。
例えばビックカメラの場合、株主お買物優待券を年間2000円もらうことができます。そして、株を保有してから1年以上2年未満になると、1000円追加でもらえます。さらに、2年以上保有するとさらに1000円、合計4000円分の買物優待券をもらうことができます。
貸株や預株の場合、この長期保有でもらえる優待がもらえません。
4. 信用取引の口座を持っていると貸株や預株ができない場合も
これはデメリットというわけではありませんが、マネックス証券と松井証券の場合、信用口座を持っていると貸株や預株を利用することができません。
SBI証券や、楽天証券、カブドットコム証券の場合は信用口座を持っている場合でも、貸株を利用することができます。
貸株と預株のメリットは年利0.1%から0.5%の金利
貸株と預株のメリットは、年利0.1%から0.5%の金利です。1%以上の金利をもらえる貸株銘柄もありますが、数はすごく少ないので、0.1%から0.5%程度が現実的な金利になります。
例えば、100万円分の株を買って、それを貸株(預株)すると、年間1000円から5000円の金利をもらうことができます。
この金利は松井証券やマネックス証券でも雑所得として扱われますが、数千万円ぐらいの相当額を貸株(預株)しない限りは、税金の支払いに響いてこないので無視していいです。
SBI証券の貸株の金利
1.0%以上 500~700銘柄程度
0.5% 100~300銘柄程度
0.4% 100~200銘柄程度
0.1% 2500~3500銘柄程度
カブドットコム証券の貸株の金利
1.0%以上 100銘柄以上(500銘柄程度)
0.5% 500〜1000銘柄程度
0.1% 2500~3000銘柄程度
カブドットコム証券は金利が1%以上の銘柄をボーナス銘柄と言っています。月によって銘柄が変わります。Webで掲載されているのは10銘柄のみです。口座を作ると一般には掲載されていないボーナス銘柄を見ることができます。
楽天証券の貸株の金利
1.0%以上 700銘柄以上
0.5%〜1.0%未満 150銘柄程度
0.25%以下 2000銘柄程度
マネックス証券の貸株の金利
0.5% 1000銘柄程度
0.1% 上記以外の銘柄全て
松井証券の預株の金利
変動 東証銘柄のみ
松井証券のみ金利分を実際にもらうまで金利がわかりません。確定情報ではありませんが、SBI証券の貸株銘柄の金利よりも2割くらい少ない感じになっているようです。
貸株と預株の結論
SBI証券
SBI証券がつぶれた場合アウト、SBI証券が貸した先がつぶれた場合OK(担保あり)。配当相当額で税金多く取られるのでアウト。貸株銘柄数多数。
カブドットコム証券
カブドットコム証券がつぶれた場合アウト、カブドットコム証券が貸した先がつぶれた場合OK(担保あり)。配当相当額で税金多く取られるのでアウト。貸株銘柄数多数。
マネックス証券
マネックス証券がつぶれた場合アウト、マネックス証券が貸した先がつぶれた場合?。 配当金で受け取れるのでOK。貸株銘柄数多数。
楽天証券
楽天証券がつぶれた場合アウト、楽天証券が貸した先がつぶれた場合?。配当相当額で税金多く取られるのでアウト。貸株銘柄数多数。
松井証券
松井証券がつぶれた場合や松井証券が貸した先がつぶれた場合OK(特別な補償あり)。配当金で受け取れるのでOK。預株(貸株)銘柄は東証銘柄のみ。
SBI証券、楽天証券、カブドットコム証券の貸株は割に合いません。貸株するだけマイナスです。
SBI証券とカブドットコム証券は貸した先が潰れても担保を取っていることを公言してますが、マネックス証券と楽天証券が貸出先から担保を確保しているかは不明です(おそらく担保を取っているとは思います)。
いずれにせよ、配当の問題が大きすぎるので、貸株や預株を利用したい場合は、配当金を雑所得ではなく配当所得として受け取れる、マネックス証券と松井証券がおすすめです。
松井証券で預株(貸株)を申し込む
ものは試しと、松井証券で預株を申し込んでみました。
申し込み自体は上記のリンクを少し参考にしてくれれば、非常に簡単です。ただし、もらえる金利が不明なこと、そしてもらえたとしても利率は少しなので、相当額の株を預株しないと、ある程度の金額にもなりません。
松井証券ではTOPIX連動型上場投資信託(1306)をちょびちょび買っていたのですが、結局6万円くらいちびちび買って10か月くらい放置して全部売っぱらった結果、53円の預株料がもらえただけでした。(参考:松井証券でのETF月額投資)
実質5万円を10ヶ月程度預株した時の預株料53円でした。TOPIX連動型上場投資信託(1306)だと推定年利0.2%くらいもらえるようです。ないよりはマシですが、せめて100万円くらい預株しておかないと雀の涙すぎです。
長期保有株主向け優待制度がない東証の株で、相当額の株を年単位で長期保有する場合に松井証券の預株がおすすめです。それ以外だと、労力に見合っていないので、無視していいです。
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公式サイト → SBI証券
No.2 楽天証券
普通預金の利率は普通0.001%なので100倍です。金利を0.1%にするために、楽天証券の口座を作ることをおすすめします。
No.3 マネックス証券
マネックス証券だとNISA口座での外国株の売買手数料が無料になります。